出会い


これは60過ぎの親父と15年間連れ添った愛猫との回想録である。

私は過去に3匹の猫を飼ったことがある。初めの2匹は黒猫であった。
初代黒猫は気の荒い雌猫であった。
2代目黒猫は初代が産んだ子で、母親に似ずとても気立ての優しい雄猫であった。
しかし、その猫は猫エイズにかかりわずか6年でこの世を去ってしまった。
それ以来、私は猫を飼う気にもなれず時が流れていった……

(空を見上げる。青い空の遠くにそびえ立つ入道雲。)
(ミーンミーンと耳障りな蝉の声が暑さを増長していた。)

さかのぼる事3ヶ月、知り合いの家で子猫が産まれたと言う話を耳にした私は「じゃあ一匹引き取るから男の子で可愛いのみつくろってよ!」と反射的に口走っていた。

引き取り条件として3か月間は親兄弟と引き離さないでほしいとお願いした。
3ヶ月と言うのは母猫や兄弟猫と一緒に暮らすことによって猫なりに生きるためのルールを身に着けてほしいと考えたからである。

それから待つこと3ヶ月、2004年8月15日とても暑い日だった。
生後3か月の子猫が我が家にやって来た。

飼い主さんが、鍋が入っていたと思われる図柄の小さな箱に入れて車でわざわざ持ってきてくれた。
私はその箱をそっと受け取り空気穴から中を覗いて見ると、小さな箱よりさらに小さな猫が「みゃ〜みゃ〜」と甲高い声で鳴いていた。
車に揺られたからであろうか親兄弟と離ればなれになったからであろうか、その声はとても不安気に聞こえたのを今でも覚えている。

早速、箱の蓋をそっと開けてみるとそこにはグレーと黒のちょっとアメショーっぽい毛並みの子がちんまりとうずくまっていた。
言うまでもなくミックスいわゆる雑種である。顔と比べて異様に耳が大きくとてもアンバランスな印象であった。

しかし、とにもかくにも我が家の一員になった限りはそんな事はどうでもよかった。
「これから何年間かわからないけどよろしくな」という思いで箱から優しく抱き上げて部屋に離してやった。それが私と愛猫との出会いであった。



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